このブログの、接近放送・メロディ関連の記事や電光掲示板(発車標)関連の記事でたびたび出てくる、運行管理システム という言葉。

聞き慣れない人もいると思います。

今回は、そんな運行管理システムについて書きました。



JR西日本の関西の主要路線に導入されているのは、アーバンネットワーク運行管理システム」 。
通称、SUNTRAS (サントラス):Safety Urban Network TRAffic System と呼ばれるものです。


これまで、列車の進路制御は 駅で行っていましたが、このシステムを導入することで 列車の運行管理を自動化し、大阪総合指令所 というところで 運行状況から信号・ポイント制御など 全てを一元管理します。

信号取り扱いにおける人為的ミスの防止や、乗務員への素早い情報伝達ができ、ダイヤの復旧を より早く行えるようになるのです。

ちなみに、運行管理システムは他社も導入しています。
中でも JR東日本の首都圏の路線に導入されている運行管理システム
通称、ATOS(アトス):Autonomous decentralized Transport Operation control System は 鉄道ファンの間で よく知られています。



アーバンネットワーク運行管理システムが導入されている路線と導入されていない路線では 何がどう違うのか。

運行管理システムが導入されると、駅のホームで流れる自動放送や 電光掲示板の表示が変更・統一されます。

JR西日本の駅自動放送は、基本的に 「まもなく、○番のりばに~」 から始まる 接近放送しかありませんが、運行管理システム導入路線では、下の動画のように 次に来る電車の乗車位置や停車駅などの案内放送(以下・予告放送)も流れるのが特徴です。

また、電車が3分以上遅れると、予告放送中に 「約○分 遅れて運転をしております。ご迷惑をお掛けしますが、しばらくお待ちください」 という放送が流れたり、電車が運休すると 運転取り止めを知らせる放送が流れたりします。

この他にも、電車が到着してドアが開いた時に流れる到着放送や停車中放送・発車放送があるのも、運行管理システム導入路線ならでは。

広島駅や 北陸地方の主要駅でも、到着放送・発車放送があり、かなり詳細な自動放送が流れますが、これらは運行管理システムとは関係ありません。


運行管理システムが導入されていない路線では、電車通過時でも 「まもなく○番のりばに電車がまいります」と言うような簡易タイプの放送が使用されている駅が多いです。

種別・行き先を言う 詳細型の放送が使用されている駅もありますが予告放送や停車中放送がないため、システム導入路線に比べ 「分かりやすさ」に欠けていると言えるでしょう。
また、嵯峨野線・JR奈良線などでは、同じ路線でも 駅によって 放送の声や文言が異なっています。


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写真は 上が彦根駅(琵琶湖線)、下が大阪駅(環状線ホーム)です。
運行管理システム導入路線では、ほぼ全ての駅に電光掲示板が設置されています。

写真のように 電車到着時に 電車がまいります (特急の場合は 列車がまいります と表示されたり、電車が3分以上遅れると 遅れ時間が表示されるようになるほか、あまりに遅れすぎると、「到着まで約○分」 という表示も出ます。
※詳しくは、別記事 「
「到着まで約○分」 京都駅 電光掲示板の遅れ表示 」 をご覧ください。


運行管理システムが導入されていない路線では、ホームに電光掲示板が設置されていない駅が少なくありません。

設置されている駅では、システム導入路線と表示が大きく異なるほか、一部の駅を除いて 電車がまいります の表示や 遅れ表示が出ません。

た、別記事 「嵯峨野線 各駅の電光掲示板(発車標)」 を見れば分かるように、電光掲示板の表示が統一されておらず、駅ごとに異なっています。


アーバンネットワーク運行管理システムには
阪和線システム
JR京都線・神戸線システム
大阪環状・大和路線システム
JR宝塚・JR東西・学研都市線システム
の4種類があり、それぞれ特徴があります。

※2019年3月21日追記※
湖西線にも運行管理システムが導入されました。


ここでは、そんな4つの運行管理システムについて導入路線、導入日、放送の声の担当者、接近メロディ、放送・電光掲示板の特徴などを書いていきます。

※2017年3月26日追記※
アーバンネットワーク運行管理システムが導入されている各路線で、接近メロディのアレンジが一斉に変更されました。
詳しくは、以下の別記事をご覧ください。

【JR西日本】 関西の主要各線の接近メロディを一斉に変更へ!琵琶湖線・JR京都線は京都駅のメロディに!
【JR西日本】 JR宝塚線・JR東西線・学研都市線・阪和線の接近メロディを変更へ!宝塚駅はなぜか対象外?


JR京都・神戸線運行管理システム
【導入路線】
北陸線(近江塩津~長浜)
琵琶湖線(長浜~京都)
JR京都線
JR神戸線
山陽線(姫路~上郡)
赤穂線(相生~播州赤穂)
※大阪駅の環状線ホーム(1・2番のりば) は大阪環状・大和路線システム。
※加古川駅の加古川線ホーム(5・6番のりば)はシステム未対応。
※米原以北、相生以西の駅では、長浜・米原・相生・上郡・播州赤穂を除き、放送がシステム対応のものではなく 電光掲示板も設置されていない。

【導入日】
2002年7月29日 草津~西明石間に導入
2006年9月1日  導入区間が近江塩津~上郡・播州赤穂間に拡大

【駅自動放送の声】
男声:村山明さん
女声:よしいけいこさん

【接近メロディ】
大阪駅(3~11番のりば)・・・環状線メロディ(タイプ2)
京都駅・・・京都駅のメロディ
琵琶湖線(長浜、米原~山科)、JR京都線(西大路~新大阪)・・・京都駅のメロディ ※2015年3月から
島本駅・・・人間みな兄弟~夜がくる
須磨海浜公園駅・・・かもめの水兵さん
JR神戸線・・・神戸線メロディ

【放送の特徴】
・京都駅では、到着放送の後 乗り換え路線の案内が放送されるが、予告放送で 快速電車や特急の停車駅案内は一切放送されない。
・当駅止まりの電車の場合、到着放送中に 「お降りの際は 足元にご注意ください」 と放送される。(JR宝塚線システムも同じ)

【電光掲示板の特徴】
・西明石行きと須磨行きの場合、行き先表示は 神戸駅以東の駅であっても 「神戸方面」 が付かず、単に 「西明石」 「須磨」 と表示される。 (ちなみに JR東西線の駅では 「神戸方面 西明石」 と表示)
・米原方面行きホームの乗車位置の場合、JR神戸線の一部の駅では、前から12番、11番・・・の順で 1番後ろが1番になっているため△12~1○7~1 というような表示になる。
JR東西線へ直通する電車の場合、JR神戸線の電光掲示板では、乗車位置欄に 「東西線経由」 と表示される。
(ちなみに JR宝塚線や学研都市線の電光掲示板では 行き先欄に 「東西線経由 ○○」 と表示)

・三ノ宮駅と垂水駅では 遅れ約3分 からではなく 遅れ約2分 から表示される。
・尼崎駅では、電車が到着すると 電光掲示板に 停車中 と表示される。


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大阪環状・大和路線運行管理システム
【導入路線】
大阪環状線
大和路線(JR難波~加茂)
JRゆめ咲線
おおさか東線(久宝寺~放出)
※放出(はなてん)駅はJR宝塚・JR東西・学研都市線システム。
※京橋駅の学研都市線ホーム(1・2番のりば)は JR宝塚・JR東西・学研都市線システム。
※天王寺駅の阪和線ホーム(1~9番のりば)は 阪和線システム。
※大和路線の平城山(ならやま)駅は
放送がシステム対応のものではなく、電光掲示板も設置されていない。


【導入日】
2009年10月4日
※おおさか東線(久宝寺・放出除く)は2008年3月15日の開業に合わせて先行導入。

【駅自動放送の声】
男声:津田英治さん
女声:向山佳比子(さきやまけいこ)さん
※英語放送の声については不明。

【接近メロディ】
環状線メロディ(タイプ1)

【放送の特徴】
・JR京都線・神戸線の放送に比べ、早口である。
・接近放送では、「○番のりばに 電車がまいります。ご注意ください」 の後、もう1度 「電車がまいります。ご注意ください」 と放送される。
・大阪環状線の各駅では 車掌がボタンを押すと、「ドアが閉まります。ドアが閉まります。ご注意ください」 という放送が流れる。


【電光掲示板の特徴】
・標準タイプの電光掲示板に、在線位置表示が出る。
・京都(Kyōto)や大阪(Ōsaka)、京橋(Kyōbashi)、天王寺(Tennōji)、王寺(Ōji)
などといったように、ローマ字のOを 「オー」 と読む場合は Oの上に - を付けるなど、JR京都線システム・JR宝塚線システム・阪和線システムと文字のフォントが異なる。
・「奈良方面 加茂」 の英語表示は、「Nara , Kamo」 となっている。
・「和歌山方面」 の表示が JR京都線システム・阪和線システムと異なる。


JR宝塚・JR東西・学研都市線運行管理システム
【導入路線】

JR宝塚線(尼崎~新三田)
JR東西線
学研都市線
おおさか東線(放出~新大阪)
※尼崎駅・新大阪駅はJR京都線・神戸線システム。
※木津駅は大阪環状・大和路線システム。
※学研都市線の大住駅・JR三山木駅・下狛駅・西木津駅は、放送がシステム対応のものではなく、電光掲示板も設置されていない。


【導入日】
2011年3月8日
※おおさか東線 放出~新大阪は2019年3月16日の開業時から。

駅自動放送の声】
男声:村山明さん
女声:よしいけいこさん
(JR京都線・神戸線と同じ)

【接近メロディ】
環状線メロディ(タイプ2)

【放送の特徴】
・接近放送では、「○番のりばに 電車がまいります。ご注意ください」 の後
もう1度 「電車がまいります。ご注意ください」 と放送される。
・予告放送では、普通電車との連絡案内や 女性専用車の案内も流れる。
(以上は 更新後の阪和線システムも同様)


・京橋駅・放出駅では、車掌がボタンを押すと プルルルルル・・・ と発車ベルが鳴り、続けて 「ドアが閉まります。ドアが閉まります。ご注意ください」 と放送される。
・JR東西線の北新地駅・大阪天満宮駅では、ホームドアが設置されているため、「危ないですから、ホームのドアから離れてお待ちください」 という文言になっている。

【電光掲示板の特徴】
・標準タイプの電光掲示板に、在線位置表示が出る。(更新後の阪和線システムも同様)
※ただし、電車のマークが大阪環状線・大和路線と異なる。
・放出駅では、電車が到着すると 電光掲示板に 停車中 と表示される。


阪和線運行管理システム(更新後)
【導入路線】
阪和線
※鳳駅の5番のりばは電光掲示板が未設置。(放送はシステム対応)

【導入日】
1993年7月1日(2013年9月28日に更新)

【駅自動放送の声】
男声:村山明さん
女声:よしいけいこさん
(JR京都線・神戸線と同じ)

【接近メロディ】
阪和線メロディ(更新前に比べ 音程が少し低い)

【放送の特徴】
・杉本町駅の1・3番のりば(通過専用ホーム)にはホーム柵があり、点字ブロックがないため、「危ないですから、黄色い点字ブロックまでお下がりください」 の代わりに 「危ないですから、ホームの内側にお下がりください」と放送される。
・禁煙放送が2種類ある。
今日も、JR西日本をご利用いただきまして、ありがとうございます。
当駅は、終日禁煙となっています。駅構内でのおタバコはご遠慮ください。
禁煙にご協力お願いいたします。
」(他線でも聞けるタイプ)
お客様にご案内いたします。コンコース及び駅構内は、全面禁煙とさせていただいております。
ご理解とご協力をお願いいたします。
」(阪和線独自)


【電光掲示板の特徴】
・「和歌山方面」 の表示が、JR京都線システム・環状線システムと異なる。
・「関西空港・和歌山」 「大阪方面」 「大阪方面 京橋」 の表示が 環状線システムと異なる。
・和歌山行きの電車のうち、途中の日根野駅で後4両を切り離すものは、8両編成のまま和歌山まで行く電車と区別するため、「日根野・和歌山行き」 と案内される。
・熊取駅3・4番のりばの電光掲示板は、乗車位置欄が狭いため、隣のホーム・1番のりばから発車する天王寺方面行きの発車案内を表示する際、乗車位置欄に 「1番のりば」 ではなく 「のりば1」 と表示する。


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※2016年6月21日追記※
JR西日本の岡山・福山エリアでは、2016年5月12日、山陽線 上郡~三原間
(上郡・三原の両駅構内は除く)に運行管理システム(SUNTRASではない)が導入されました。

それに伴い、山陽線 瀬戸~糸崎間の各駅と赤穂線 西大寺駅に電光掲示板が設置され、それらの駅で 詳細な駅自動放送(男声・女声ともに合成音声)が流れるようになっています。

(岡山・倉敷・福山の3駅はシステム導入前から電光掲示板が設置されています)



★次の記事★
JR西日本 関西の運行管理システム ~今後の導入予定は?~

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