※写真は堅田駅で撮影。
湖西線は、とにかく風に弱い!!!
全線が高架になっていて 真横から風を受ける上、 「比良おろし」 と呼ばれる 比良山系から琵琶湖へ吹き下ろす突風が吹くため、速度規制や運転見合わせになることが多く、強風対策が課題になっています。
(断続的に強風が吹くと、5時間以上運転見合わせになることも・・・)
2008年12月に 比良~近江舞子駅間、2012年2月には 近江舞子~北小松駅間に防風柵が整備され、一定の効果がありました。
しかしそれでも、昨年(2013年)は強風で17回も運転見合わせになっているのです。
今月12日には、三日月大造・滋賀県知事がJR西日本京都支社を訪問し、蓬莱~比良駅間の防風柵設置など 湖西線の強風対策強化を要望しましたが、それを受けて、昨日(17日) JR西日本が 湖西線の強風対策をさらに充実させると発表しました。
【JR西日本 プレスリリース】
湖西線の強風対策を充実させます!防風柵の整備延長・折り返し設備の整備を行います
9月定例社長会見
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1つは、防風柵整備区間の延長。
新たに志賀~比良駅間の山側沿線にも防風柵を整備します。
防風柵は、これまでと同じ 強化プラスチック製。
レール面上高さ2メートルまで設置され、比良山系から吹く強風を約60%遮ることができるのです。
合わせて、強風規制値の基準も見直され、防風柵の延長後、運転見合わせは 風速25メートル以上から30メートル以上に、徐行は 風速20メートル以上から25メートル以上に それぞれ引き上げられます。
防風柵は 2016年1月に完成する予定で、整備後はその区間の運転見合わせ時間が3分の1以下になると JR西日本は想定しています。
三日月知事は、蓬莱~比良駅間の防風柵設置を要望していましたが、蓬莱~志賀駅間については、今回は見送られたようですね。
そしてもう1つは、和邇(わに)駅に 京都方面への折り返し設備を整備するというもの。
和邇駅の京都側に、下り線→上り線(2番のりば)への渡り線と信号機を新設します。
現在、堅田~近江舞子駅間の途中駅に折り返し設備がないため、比良・近江舞子近辺で強風が吹くと 堅田駅以北が運転見合わせになりますが、この時、小野駅・和邇駅近辺は強風が吹いていないことが多く、毎回巻き添えを食らってしまうのです。
整備後は 堅田駅に加え 和邇駅でも折り返しが可能になり、比良・近江舞子近辺で強風が吹いても、和邇駅まで電車を運行できるようになります。
とはいえ、和邇駅は 堅田駅の2駅隣。
堅田からたった2駅なのに折り返し設備?と思われるかもしれませんが、ここに折り返し設備があるのとないのとでは全然違います。
現在は 堅田駅の2番のりばでしか折り返しができないため、強風で堅田駅以北が運転見合わせになると、湖西線直通の新快速は 京都駅で運転打ち切りになってしまいます。
和邇駅に折り返し設備を新設することで、普通電車が和邇駅折り返しとなり、新快速は堅田駅まで運転できるようになるのです。
和邇は大津の市街地の北端にあたり、この駅を境に沿線の風景が一変します。
小野駅と和邇駅は 駅の西側に住宅地が広がっていることもあって、利用客数は 蓬莱~近江塩津駅間の どの駅よりも多いのです。
(2012年度の1日平均の乗車人員は、小野駅が3595人、和邇駅が2573人なのに対し、蓬莱駅以北では、蓬莱駅が1040人、比良駅が1418人、安曇川駅が1933人、新旭駅が1152人、近江今津駅が2242人で、それ以外の駅は全て 乗車人員数が3ケタ)
和邇駅以南では エレベーターや一般型の自動改札機、電車の発車案内を表示する電光掲示板(発車標)が全駅で設置されているのに対し、蓬莱駅以北では 一部の駅を除いてそれらが設置されていないことからも(自動改札機に至っては 全駅で簡易型タイプ もしくは未設置)、和邇駅以南と蓬莱駅以北では、利用客数・設備面共に差があることが分かるでしょう。
また、地図を見ると分かりますが、堅田駅以南と小野駅以北を結ぶ幹線道路は、(旧)国道161号線と湖西道路ぐらいしかありません。
さらに、(旧)国道161号線と国道477号線が交わる 琵琶湖大橋交差点は、湖西で屈指の渋滞スポットして知られているのです。
強風で運転見合わせになった際、湖西線の電車折り返し駅~近江舞子方面を車で移動するのに 琵琶湖大橋交差点を通らなくても良くなる。
これだけでも、心理的な負担がだいぶ減るでしょう。
自分は以前から、湖西線の堅田駅以北が運転見合わせになるたびに、「和邇駅か蓬莱駅に折り返し設備があれば良いのに」 と思っていたので、本当に実現するとは 正直驚いています。
そんな待望の折り返し設備ですが、完成予定時期が2019年春!
おおさか東線の全線開業と同じ年だなんて、まだまだ先ですね。
渡り線の新設と信号機の設置だけで4年もかかるものなのか?と思っていたところ、9月定例社長会見 にて・・・
「和邇駅の折り返し設備については、運行管理システムなどとの関係もございまして、平成31年の使用開始を予定しております」
・・・ってえええええええええ!!!!!ヽ((◎д◎ ))ゝ
ひょっとして、2019年春までに 湖西線に運行管理システムが導入されるのでしょうか?
非常に気になるところです。
【運行管理システムが分からない方】
京都駅・山科駅をはじめとする琵琶湖線・JR京都線の駅と 湖西線の駅とで、ホームで流れる自動放送や ホームに設置されている電光掲示板の表示が違うな~と感じたことはありませんか?
運行管理システムが導入されると、そんな自動放送や電光掲示板の表示が 琵琶湖線・JR京都線と同じになる、とイメージして頂ければと思います。
以上、湖西線の強風対策強化についてでした。
※2019年8月14日追記※
2019年2月、湖西線に運行管理システムが導入されました。
(ホームで流れる自動放送や 電光掲示板の表示が、琵琶湖線やJR京都線とほぼ同じものに変わりました)
和邇駅の折り返し設備も使用開始されています。