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※福井駅に停車中の普通 九頭竜湖行き。(2019年4月撮影)


JR西日本は、2021年10月にダイヤ改正を実施する予定です。

京阪神地区で約60本、それ以外のエリアで約70本を削減するとしており、福井県内の小浜線越美北線(九頭竜線)も 減便する線区に挙げられています。


前回の記事 で、JR西日本が小浜線の本数半減を検討していることについて取り上げましたが、越美北線の減便も数本では済まないかもしれません。

2021年5月20日、福井新聞が 「越美北線で8割近くの列車が減便対象になっている」 と報じました。


【福井新聞の記事】
JR西日本、秋のダイヤ改正で越美北線の減便検討 対象は全体の8割相当

★前回の記事★




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福井新聞の記事によると、減便の対象となっている列車は 以下の通り。


福井~越前大野・・・・・18本中乗客数が少ない12本(66%)

越前大野~九頭竜湖・・・・・全ての列車(全9本)

※2021年3月のダイヤ改正で、早朝の越前大野発 九頭竜湖行き1本が運転取り止めとなりました。
そのため、同区間は上り5本(うち1本は九頭竜湖発 越前大野行き)、下り4本の計9本(4.5往復)となっています。


確定ではなく、効率的な車両運用などを検討した上で方向性を取りまとめ、7月に公表する予定とのことです。


福井~九頭竜湖
※Googleマップより引用。


越美北線は、福井~越前大野駅間ですら 1日18本(9往復)と、加古川線の閑散区間(西脇市~谷川)並みの本数しかありません。

同じく福井駅から東へ延びる えちぜん鉄道の勝山永平寺線(福井~勝山)は、9~20時台にかけて30分間隔で運転しており、両者の利便性に大きな差があります。

ただでさえ本数が少ないので これ以上減らしようがないと思うのですが、コロナの影響による利用客の減少もあってか、6割以上の列車が減便対象になってしまいました。


仮に12本全てが運転取り止めになった場合、福井~越前大野駅間は 1日に6本(3往復)しか走らなくなります。

これは、芸備線 備後落合~東城駅間や 木次線 出雲横田~備後落合駅間、小野田線(本山支線) 雀田~長門本山駅間と並び、JR西日本で最も本数の少ない超閑散路線になることを意味するのです。


さすがにここまで本数が減るとは考えにくく、12本中の何本かは残るでしょう。

最終的には、9往復→5~6往復程度への減便に落ち着くのではないかと思います。


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※九頭竜湖駅に停車中の普通 福井行き。(2019年4月撮影)


越前大野~九頭竜湖駅間は、1日に4.5往復しか走らない超閑散区間です。

今回、この区間は 全ての列車が減便対象になってしまいました。

さすがに全列車運転取り止め(運行休止)は考えられませんが、2020年5月に廃止された 札沼線の浦臼~新十津川駅間のように、1日に1往復しか走らなくなる可能性はあると思います。



福井新聞の記事によると、福井県と沿線の福井市・大野市は 運行本数の維持をJR西日本に要望する方針だそうです。

しかし、JR西日本がコロナによる利用減で苦境にあえいでいる今、自治体の要望だけでは 減便の方針を変えることはできないと思います。

小浜線の記事 でも書いた通り、ただ 「言うだけ」 で終わるのではなく、県や沿線自治体が 減便対象となる列車の運行経費を負担するなど、JR西日本を支援する姿勢を見せるべきです。



越美北線は、沿線に一乗谷朝倉氏遺跡や越前大野城などといった観光名所がありますし、福井市⇔大野市の通勤・通学需要も少なくないと思います。

しかし、越美北線 越前花堂~九頭竜湖の輸送密度は、コロナ前の2019年度ですら 399人/日しかありません。
(越前大野で区切って 越前花堂~越前大野と越前大野~九頭竜湖に分ければ、前者の輸送密度はもっと高く、後者の輸送密度はもっと低くなるでしょう)

輸送密度500人/日未満は、JR北海道が 「単独での維持が難しい」 として 沿線自治体と存廃に関する議論を始める水準であり、「廃止路線候補」 と言えるでしょう。

可部線の可部~三段峡駅間が 輸送密度492人/日で廃止されていることを考えると、越前大野~九頭竜湖駅間どころか、全線が廃止になってもおかしくないのです。

特に 福井~越前大野駅間は、潜在的な需要がありながら、1日9往復と本数が少なすぎるため 敬遠されているのではないでしょうか。


コロナが落ち着いたら、姫新線で一時期やっていたような社会実験(試験的な増発)を自治体主導で実施すると良いと思います。

福井~越前大野駅間が概ね1時間間隔で運転されるようになれば、利便性が大きく向上し 利用客の増加につながるでしょう。
(列車の交換設備が美山駅と越前大野駅にしかないので、えちぜん鉄道のような30分間隔での運行は不可能です)


また、福井~越前大野駅間の34kmを乗り通すのに1時間近く(列車によっては1時間以上)かかるところも、敬遠される要因の1つだと思います。
(ちなみに、JR神戸線の大阪~神戸駅間は33.1kmですが、所要時間は新快速利用で概ね25分です)

越美北線では新快速のような高速運転ができませんが、一部の駅を通過するなどして もう少し所要時間を短くできれば良いですね。
(ちなみに、1992年から2001年にかけて快速列車が運転されていました)


越美北線 越前東郷~牛ヶ原
※Googleマップより引用。


越美北線は、越前花堂~越前大野駅間の31.4kmに15駅もあります。

特に一乗谷~牛ケ原駅間は、山と山に挟まれた谷間を走っていて民家が少ないにも関わらず、駅間距離が1~3kmとかなり短く、駅が多すぎると思うんですよね。
(ちなみに、北陸本線の福井県内は3~6kmの区間が多いです)

この区間は一乗谷を除いて観光地もなく、駅の利用者は ほぼ沿線住民(+駅巡りが趣味の鉄道マニア)に限られると思うのですが、住民がほとんど利用しないのであれば、一部の駅の廃止を検討しても良いのではないかと思います。

このような駅では、仮に30分間隔での運行になったとしても、利用客の増加は微々たるものになるでしょう。


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※越前大野駅に停車中の普通 九頭竜湖行き。(2019年4月撮影)


越美北線の未来は、県と福井市・大野市の出方次第で大きく変わると思います。

減便でさらなる鉄道離れが避けられないのはもちろんですが、今までのように現状維持で満足していては、近い将来 全線廃止に突き進むことになるでしょう。

存続させるには、JRの企業努力に期待するのではなく、自治体による利用促進の努力が必要不可欠です。

特に大野市は、福井市とを結ぶ鉄路を死守するためにも、積極的に行動する必要があると思います。


例えば、前述した試験的な増発のほか、

沿線の住民にアンケートを実施する。
(越美北線を利用する頻度、利用する理由・利用しない理由、仮に本数が増えたら利用するか など)

自治体が費用を負担して、越美北線の列車内と越前大野駅にIC改札機を設置。
(ICカードが使えるようになれば利用者が増加する というわけではありませんが、利便性が向上するのは間違いありません)

北大野駅を大野市の第2の玄関口と位置づけて整備する。
(市の中心駅である越前大野駅よりも福井側に位置しているため)

などなど。

県と沿線自治体は 「乗って残そう」 運動をやるだけではなく、どうやったら沿線の住民に越美北線を利用してもらえるのか真剣に考え、上下分離や三セク化をしてでも存続させるという覚悟で行動するべきです。

コロナでJR西日本の経営が悪化している今、自治体側の 「本気度」 が問われていると思います。



以下、余談。

自分は基本的に、JR西日本の路線名は 正式名称よりも愛称の方を使うようにしています。
(東海道本線・山陽本線→琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線、関西本線→大和路線、片町線→学研都市線など)

ただ、越美北線はどういうわけか、愛称である 「九頭竜線」 よりも 正式名称の 「越美北線」 の方がしっくりくるんですよね。

この記事を書く時、どちらを使うか かなり悩みましたが、JR西日本のニュースリリースや福井新聞の記事に合わせて 「越美北線」 を使うことにしました。


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