北海道樺戸郡新十津川町にあった新十津川駅。
1972年から48年間にわたって 札沼線(学園都市線)の終着駅となっていました。
今月(2020年5月)7日付で 札沼線 非電化区間(北海道医療大学~新十津川駅間)が廃止され、この駅も廃駅となっています。
※本来であれば5月6日が最終運行となるはずでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う 緊急事態宣言の発令を受け、4月17日午前をもって運行を終了しました。
そんな新十津川駅は、2016年3月26日のダイヤ改正以降、列車が1日に1本しか来ない終着駅となっていたんですよね。
(発車するのは、10時0分発の石狩当別行き1本のみ)
ということは、駅の周りに民家がほとんどないような ド田舎の秘境駅だったのでは・・・と思われるかもしれませんが、実際は全然 「秘境」 ではありません。
今回は、そのことについて書きたいと思います。
★新十津川駅の様子(2019年8月撮影)★
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こちらは、昨年(2019年)8月に撮影した 新十津川駅の様子です。
ホームの反対側は、このように 木が生い茂っています。
これだけ見ると、さぞかし 森林が広がっているように見えますよね?
しかし、グーグルマップで 新十津川駅周辺の航空写真を見てみると・・・
あれ???
なんと、駅の反対側は 林が縦長に広がっているだけでした。
林の向こうに、何やら大きな建物が建っています。
グーグルマップのストリートビューで見てみると、こんな感じ。
4階建てのマンションのように見えます。
1日に1本しか列車が来ない駅の裏とは思えない光景ですね。
調べてみたところ、この建物は 「文京団地」 という公営住宅なんだそう。
【新十津川町ホームページ】
公営住宅一覧 | 北海道新十津川町
新十津川駅の駅名標の写真。
右奥に、何やら高い建物が写っていますが・・・
※グーグルマップのストリートビューより。(画像を一部加工しています)
この建物は、空知中央病院。
こんな大きな病院が、新十津川駅の目の前にあるんですね。
航空写真で 範囲を広げて見てみると・・・んんん???
新十津川駅の周辺に建物が密集しているのです。
都会ほどではないものの、1日に1本しか列車が来ない駅の周辺にしては異様に思えます。
石狩当別駅での乗り換えが必要とはいえ、札沼線は札幌駅に乗り入れている路線なので、本数がもっと多くてもおかしくないでしょう。
しかし、それでも本数が極端に少なかったのは、大きな理由がありました。
なんと、石狩川の対岸に 函館本線の滝川駅があるのです!
新十津川駅から4kmほどしか離れていません。
札沼線と函館本線は このように札幌まで並行しているわけですが、札沼線の末端(1日に1往復しか運行されなかった浦臼~新十津川駅間)は 函館本線に大きく接近しているんですよね。
滝川駅は 特急列車が1時間に1~2本停車しますし、最速52分で札幌駅へ行くことができます。
新十津川町民が、遅くて本数の少ない札沼線ではなく、速くて本数の多い滝川駅を利用するのも当然ですね。
ちなみに、かつて 札沼線を新十津川駅から滝川駅へ延伸する構想がありましたが、石狩川の架橋に巨額の費用がかかることから 実現せずに終わっています。
以上、長々と書いてきましたが、まとめると・・・
●新十津川駅の列車本数が極端に少なかったのは、駅周辺に住民がいないからではなく 住民が必要としなかったから
●駅周辺は秘境でも何でもなく、意外と建物が多い
ということです。
自分は昨年8月に新十津川駅を訪れましたが、今月になってグーグルマップを見て 駅裏の団地の存在や 駅周辺の建物の多さに驚いたので、今回記事にしてみました。